波浮港のグルメと歴史。コロッケ片手に散策はいかが?

「踊子の里」として有名な波浮港。

特に下調べもせず地図を片手にフラッと立ち寄ってみたのですが、

風情のある街並み。

思いがけないグルメとの出会い。

そして、
そこだけタイムスリップしたかのようなゆったりとした時間のながれに
数多くの文豪や芸術家たちに愛された理由がわかったような気がしました。

波浮港の歴史

波浮港のある場所にはもともと湖がありました。

マグマによって引き起こされた水蒸気爆発がクレーターを作り、
そこに水が溜まることにより生まれた湖で、
その湖は「波浮の池」と呼ばれていました。

(2015年に鹿児島県の口永良部島で起きた噴火もこのマグマ水蒸気爆発だったようです。
YouTubeでマグマ水蒸気爆発についての動画がありましたので、
興味のある方はご覧になってみてください。)

時は流れ、
1703年。

関東地方を襲ったマグニチュード8クラスの元禄大地震。

この地震によって発生した津波が伊豆大島に押し寄せ、
その津波は、
「波浮の池」の一部を破壊しました。

崩れた湖の水は海に流れ込み、湖はそのまま海とつながります。

四方を岩で囲まれた「波浮の池」の跡地は、
風や波の影響を受けにくく、
江戸へ向かう他の島の船が停泊するのに便利な場所となりました。

1798年。

伊豆七島の案内役をしていた秋廣平六(あきひろへいろく)は
外交で江戸に向かう他国の船や遠方へ漁業に向かう船たちの中継地として
この場所が最適だと幕府に進言、工事の提案を行います。

1800年3月。

この「波浮の池」の開拓工事が開始。

5か月後の8月に、
風待ちの港、「波浮港」として開港することになります。

文学の散歩道

波浮港の街並み

明治の終わりごろになると、
著名な文豪や芸術家たちが伊豆大島に訪れて数多くの作品を残したそうです。

その際、
波浮港に必ず立ち寄っていたようで
この波浮港は文学好きな方々にとって聖地のような場所に。

やがて、
「NPO法人 波浮の港を愛する会」によって
「文学の散歩道」が作られ、石碑が建てられました。

文学碑

文学の散歩道

公式ホームページにより詳細がありますので、
文学好きな方はぜひご覧になってください。
リンク> 波浮の港を愛する会

伊豆の踊子

ノーベル文学賞作家の川端康成さんの作品、
「伊豆の踊子」は
大島から伊豆に出稼ぎにきている旅芸人との交流を描いたものです。

「踊子の里資料館」では、
この作品のモデルになった踊子たちが芸を披露しているようすが再現されていて、
映画化された際の台本などを展示しています。

踊子の里資料館

踊子の人形

入場料は無料です。

開館時間は9時~16時で年中無休です。

リンク> 踊り子の里資料館 伊豆大島観光名所情報

この記事の一番下に、
「伊豆の踊子」のあらすじや個人的な感想を書きました。

ネタばれ大丈夫な方は最後まで読んでいただけると嬉しいです!

鵜飼商店さんのコロッケ

波浮港をゆっくり散歩していたら、
前を歩いている観光客がなにやら食べながら歩いています。

漁港に食べ歩きできるものが売っているところがあるの?

と不思議に思ってあたりをくまなく捜索しました。

港には見当たらなく通りに戻ろうとした時、
フッと視界に赤い旗が飛び込んできました。

旗にはコロッケの文字が。

ここか!

さっきの人たちはコロッケを食べてたんだ!

鵜飼商店

お店に入ってみると、
壁一面にずらーっと芸能人のサインが並んでいます。

これはすごいお店に出会えてしまったのではないか。。

心の中でめちゃくちゃ喜びました(笑)

何がいいのかわからないので、
とりあえず旗にも書いてあったコロッケを注文しました。

鵜飼商店のメニュー

作り置きはなくその場で揚げてくれます。

待つこと4~5分ほどでしょうか。

揚げたてのコロッケの登場です。

出来立てサクサク、めちゃめちゃ熱々です!

鵜飼商店のコロッケ

海を眺めながら堪能します。

玉ねぎの味がしっかりとしたコロッケで、
甘味がありとても美味しかったです!

散策のおともに、

または目の前の海を眺めながら。

波浮港を訪れた際はぜひ立ち寄ってみてください!

島京梵天(とうきょうぼんてん)さんのたい焼き

「鉄砲場」を目標に、
「踊子の里資料館」から石段を登っていきます。

石段

石段から眺める波浮の港

さらに続く石段

階段を登っていくと、
そこに「旧甚の丸邸」があります。

波浮港の全盛期に漁師たちを束ねる網元の屋敷あとです。

旧甚の丸邸

この隣に気になるお店がありました。

島京梵天

島京梵天さんです。

たこ焼きが目につき、
ちょうどお腹も空いていたので食べてみようと思って入ってみました。

なんとなく沖縄っぽい南国風な印象を受けるインテリアで、
島のお土産や雑貨なんかも売っていました。

たい焼きもいろいろな種類があったのですが、
とりあえず無難につぶあんを。
そしてたこ焼きを注文。

こちらのお店も注文してから焼き上げてくれるので、
時間はかかってしまいますが、
出来立て熱々を食べることができます。

たい焼き(つぶあん)は150円。

焼きたてのたい焼き

半分に割ったたい焼き

表面はカリッとしていて
もちもちの生地が最高でした(>_<)

たこ焼きは500円!

出来立てのたこ焼き

店主の方が大阪の方らしく、
味の方も
ダシがしっかり効いた旨み溢れる味です。

これもめちゃくちゃおいしかったです!

「鉄砲場」までの道がわからなかったので、
こちらの店主の方に聞いてみると、
とても分かりやすい手書きの地図をいただけました!

気さくでとても親切な方でお腹も心も満たされました。。

お土産用に、
明日葉を練り込んだ冷やしたい焼きもあります。

こちらも波浮港にお立ち寄りの際はぜひ!

営業時間は11時~18時。

月曜・火曜が定休日です。
リンク> 島京梵天 Tokyo Vone Ten

鉄砲場

もらった地図を頼りに
住宅街を抜けていくと「鉄砲場」があります。

鉄砲場の入り口

こちらは、
第二次世界大戦時に少年兵の訓練などが行われていた場所だそうです。

当時の防空壕が今も残されています。

防空壕

鉄砲場

鉄砲場からの風景

夕日が美しい場所のようなので、
夕方に訪れるのがお勧めです!

グーグルマップに載っていないので辿り着くのに苦労します。
地元の人に道を聞くか、
「島京梵天」さんでお食事をした際に道を聞くのがベストだと思います。

波浮港は駐車場がないので、
車の方は停める場所探すのに苦労します。

車が停められない代わりに
波浮港まで出ているバスがありますので、そちらを利用するのも手かと思います。

それでは最後に、

伊豆の踊子のあらすじ


私は20歳、

高等学校の制帽と着物に袴、学生カバンを肩にかけ
伊豆を一人旅している。

旅の途中に見かけた旅芸人。その中の美しい踊子に心惹かれ、
道を急ぎ追いかける。

やっとの思いで追いつき声をかけると
どうやら大島の波浮の港からやってきた人たちのようで、
冬になる前に大島に帰る為、下田に向かっているらしい。

大島に興味もあるし踊子のことも気になる。
そこで思い切って一緒に旅をしたいと申し出る。

旅芸人は快くその申し出を受けてくれた。

共に旅をするうちに旅芸人たちと打ち解け、
心を通わせていく。

そうこうしているうちに
いつの間にか大島の旅芸人の家にいくという話になってしまったが、
下田へと着く頃、
お金がなくなりひとり東京へと帰らなければならなくなった。

東京へと向かう出発の朝、
旅芸人の栄吉が見送りにきてくれた。
踊子はじっとしたままうつむいている。

栄吉は船酔いに効く柿を買ってきてくれた。
お礼に私は被っていた帽子を栄吉にかぶせ
そして、
カバンの中から学生帽を取り出し、しわを取りながら二人で笑った。

船に乗る直前に、
土方風の男に老婆を上野へと送り届けてほしいと頼まれる。
倅(せがれ)とその嫁が死んでしまい残された孫を育てる為に国へ帰してあげたいんだと。

私は快く引き受けた。
なぜか老婆の世話もしごく当然のように思えたのだ。

縄梯子につかまろうとして振り返った時、
さよならを言おうとしたが、ただうなずいてみせた。

栄吉はさきほどあげた帽子を振っている。
踊子はずっと遠くなってから白いものを振り始めた。

孤児根性と息苦しい憂鬱から一人旅にでた私だったが
しかし、
今は清々しい満足の中にいるようだ。

私は涙をでまかせにしていた。
頭が澄んだ水になってそれがぽろぽろこぼれ、
その後には何も残らないような甘い快さだった。

川端康成さんは自分の実体験を作品にすることが多いようで、
おそらくこの作品も実体験をもとに書かれているのだろうと思います。

年代や表現は古いものではありますが、
人物の心情は現代に生きる僕でもリアルに感じられました。

ストレスなど色々なものをため込んでしまい居ても立っても居られず
一人、伊豆を旅して自分探し。
ここらへんは今も昔も変わらないんだなと思いました。

この世で自分は独りぼっち。心通わせてくれる人はいない。
そんな孤独感がいつの間にか満たされている。
涙を流す最後の船のシーンがとても印象に残りました。

短編小説で非常に短い作品ですので、
興味のある方は読んでみてください!

伊豆の踊子改版 [ 川端康成 ]
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