ヘモグロビンとは?人体の中の鉄の活躍!
鉄について(熱処理、応力ひずみ曲線図)!(機械の基礎知識)で
鉄そのもののご紹介をしましたが、
こちらは番外編ということで、
人体の中の「鉄」の役割についてもご紹介したいと思います。
人体内部での鉄の役割
人間の体の中には、
3~5gほどの鉄が含まれています。
このうち、
2~3gほどが赤血球の中のたんぱく質、「ヘモグロビン」に。
1gほどが肝臓に蓄えられていて、
残りは酵素の成分に使われています。
この体の中にある「鉄」は、
生物が生きていく上で一番重要な役割を持っています。
その役割が、
全身に酸素を運ぶことです。
呼吸によって酸素を体に取り入れて、
それを赤血球が運びます。
この酸素を取り入れる際に活躍するのが、ヘモグロビンの中心にある「鉄」です。
イオンとは?日常でよく耳にするイオンの正体(電気の基礎知識)でイオンについてご説明しましたが、
鉄も湿気や水分によってイオン化されやすい元素のひとつです。
人体内の鉄は、
鉄原子の電子を2つ手放した2価の鉄イオンとして存在しています。
イオン化した鉄は酸素と容易に結合するので、
呼吸によって酸素を取り込むと、鉄と酸素は結合して酸化鉄となります。
血液が赤いのは
ヘモグロビンが酸素と結合して酸化鉄となっているからです。
一方、
静脈が青っぽく見えるのは
ヘモグロビンが酸素を運び終えてもとの鉄の状態に戻るからです。
ちなみに、
一酸化炭素は酸素よりも早くヘモグロビンと結合してしまうので、
換気を行わないでガスを使ったり、
火災で煙に巻かれた時など、
酸素がある程度残っている状況でも一酸化炭素中毒を引き起こします。
中毒症状が出てしまうと
意識や判断力がなくなるといったことがあり、自力での脱出が困難となります。
火を使う際は必ず換気を行いましょう。
鉄が不足すると貧血に
鉄は、
酸素を運ぶ重要な役割を持っているので、
体に鉄が不足してくると酸欠状態になってしまい
立ちくらみやめまい、息切れなどといった症状が現れ貧血を起こします。
その為、
食事でしっかりと鉄を摂取することが大切です。
大人では、
一日当たり10~12mgの摂取が目安ですので、
乳製品・肉・魚・ほうれん草など、
鉄を多く含む食材をバランスよく取りましょう!
青い血を持つ生き物
人間をはじめ多くの生物は、
鉄を含むヘモグロビンが酸素を運んでいるため
血液の色が赤色ですが、
中には青色の血を持つ生き物がいます。
その生き物が、
イカやタコです。
青い血を持つ生き物は、
ヘモグロビンではなく
ヘモシアニンと呼ばれる無色の色素が酸素を運ぶ役割を持っています。
このヘモシアニンには銅が含まれていて、
銅が酸化することによって血が青色になるのです。
鉄は、
酸化して錆びると赤褐色になりますが、
銅は、
酸化すると緑青(ろくしょう)と呼ばれる青緑色のサビを発生します。
自由の女神などの銅像が青緑色しているのも
全てこの緑青によるものです。
この酸化銅=緑青が血を青くしています。
この青い血を持つ生き物の中で、
ある脅威から人間を守ってくれているものがいます。
それが、
カブトガニです。
カブトガニの血は、
細菌に対する感度が非常に高く、
細菌に反応すると凝固する性質がある為、
医療機器やワクチンが細菌によって汚染されていないかどうか
1時間もかからずに確かめることができるようです。
カブトガニ以前は、
ウサギが使われていたようですが、
細菌の反応が出るまでに時間がかかりすぎる欠点があったようで
カブトガニはまさに人類の救世主とも呼ぶべき存在になっています。
ちなみに、
カブトガニの血は1リットル170万円するそうです・・・。
カブトガニを養殖することができたら
大金持ちになれそうですね。。